高齢犬がストレスを感じやすい原因と対処法

高齢犬がストレスを感じやすい原因と対処法

高齢犬はさまざまな要因からストレスを感じやすいと言われています。

ストレスがかかったままでは、体調不良や問題行動につながることもあるので要注意です。

この記事では、高齢犬がストレスを感じやすい理由と対処法をご紹介します。

ストレスの原因1:体の不調や痛み

シニアになると免疫力や内臓の機能が低下するため、さまざまな病気にかかりやすくなります。

とくに、関節炎による膝や背中・股関節などの痛みに悩まされる愛犬は多いです。

この慢性的な痛みが、ご飯を食べたり歩いたりといった日常生活までもつらくさせ、ストレスになることも珍しくありません。

ストレスの原因2:できていたことができなくなる

シニアになれば、足腰が弱くなり筋力も落ちていきます。

その結果、今までできていたことが徐々にできなくなるケースも増えるでしょう。

  • ・階段やソファなど、高いところに自力で上れなくなった
  • ・体の痛みや疲労感から、運動や散歩に消極的になった
  • ・トイレに間に合わず、おしっこやうんちを漏らす

体の自由がきかず、これまで自力でできていたことができなくなり、ストレスを感じてしまうのです。

ストレスの原因3:感覚の低下による不安感

高齢犬は、視覚や聴覚などの五感も段々と鈍くなります。

特に犬は嗅覚と聴覚が優れており、身の回りの情報の7割を匂いと音で得ているとされています。

つまり、犬にとって感覚が低下するのは情報を得づらくなるということ。

その結果、不安な気持ちが増してストレスになってしまうのです。

ストレスの原因4:認知症

犬も人と同じく老化によって脳の認知機能が低下し、認知症になることもあります。

認知症の症状は夜鳴きが増える・昼夜逆転するなどが有名ですが、感情の起伏が激しくなるのも1つの特徴です。

もちろん、認知症に陥った犬にも心はあります。

感情のコントロールが上手くできないことがストレスにつながるケースもあるでしょう。

ストレスへの対処法

愛犬のストレスを見逃さないためには、家族が注意深く観察することが大切です。

  • ・しっぽを低く下げる
  • ・震える
  • ・頻繁にあくびをする
  • ・体の同じ箇所をずっと舐める

犬がストレスを抱えていると、このような行動が多くなります。

ストレスサインを見つけたら、愛犬にとって何がストレスになっているか考え、それに応じた対処法を行いましょう。

対処法1:絶対に叱らない

シニアになるとトイレの失敗が増えますが、叱るのは絶対NGです。

飼い主さんは“失敗したこと”を叱っているつもりでも、愛犬は“トイレをしたこと”を叱られたのだと思い、トイレを我慢する恐れがあります。

今までできていたことができなくなると、飼い主さんも焦り、つい叱りたくなるかもしれません。

一方、愛犬もこれまで自分でできていたことができなくなるのは、悔しいはずです。

それを頭ごなしに叱られては愛犬の心は傷つき、飼い主さんとの信頼関係が崩れることもあります。

愛犬がどんな失敗をしても、叱らずに「大丈夫だよ」と優しく寄り添ってあげましょう。

対処法2:生活環境を見直す

シニアになると感覚や体の筋力・骨が衰え、慣れ親しんだ家の中でも生活しづらくなります。

例えば、わずかな段差に躓くようになったり家具や壁にぶつかるようになったり、家の中にも危険が多く、愛犬にとってはストレスです。

高齢になっても不自由なく暮らせるよう、生活環境を見直しましょう。

  • ・段差にスロープをつける
  • ・ぶつかりやすい壁や家具にタオルなどクッション材を巻く
  • ・家電のコードをテープで固定する
  • ・ご飯を食べやすいように食器の高さを変える

これらはあくまでも一部で、生活環境の見直しポイントは家庭によってさまざまです。

愛犬の様子をよく観察し、不便な箇所がないか確認してください。

対処法3:コミュニケーションを増やす

不安感からストレスを抱えている場合、家族とのコミュニケーションを増やすのも有効です。

愛犬が孤独に感じないよう、愛犬のための時間を設けましょう。

ただし、愛犬が眠っている時や食事の時にしつこくするのは逆効果!

かえってストレスになってしまうので、タイミングを見てコミュニケーションをとりましょう。

また、夜鳴きが激しい場合は、同じ部屋で寝てあげると落ち着くこともあります。

「ここにいるよ」と話しかけ愛犬を安心させてください。

対処法4:愛犬の“できること”を奪わない

愛犬に不自由があると、助けてあげたくなるのは飼い主として当然のことだと思います。

ただ、何に関しても飼い主さんがお世話するのは注意が必要です。

ご飯を食べる・トイレをする・歩く…当たり前に感じる普段の行動も、自力でできるのは幸せなことです。

愛犬が自分でできることを飼い主さんが行っては、愛犬のストレスになるだけではなく“生活の質”までも低下させます。

かくいう私も、数年前にお別れした愛犬の終末期に、お世話を焼きすぎた経験があります。

愛犬が自分で頑張ろうとしていることも「できないでしょ?」と、何でも手を出していたのです。

当時はそれが良いことだと思っていました。

しかし、愛犬が旅立った後で「あの子の些細な幸せを奪っていた」と気づき後悔したのです。

シニアになり体の不自由が増えた愛犬にとって、「自分でできた」というのは大きな自信につながります。

さらに、その自信は生きる上での楽しみにもなるはずです。

できないことをサポートするのは重要ですが、すぐに手助けするのではなく、まずは愛犬の頑張りをそばで優しく見守りましょう。

できる限り自力で生活することで、愛犬の自信も増え、生活の質を保つことができます。

シニア犬のストレスをゼロにするのは難しいかもしれません。

ですが、愛犬が最期まで愛犬らしく過ごせるよう、少しでもストレスを減らす工夫を家族で行いましょう。

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