みなさんは“愛犬の老い”を感じたことはありますか?
老いは誰にでも平等にやってくる現象ですが、目の当たりにするとショックを受けることもありますよね。
今回は動物介護士・ペットケアアドバイザーの視点から、愛犬の老いに気づいた飼い主さんに行ってほしいことや注意点をご紹介します。
老化のサインは色々ありますが、白いヒゲが1本混じっていたなど些細なものでも、初めて発見した時は戸惑いますよね。
人のように年々見た目が変わっていくならまだしも、犬は年齢を重ねても見た目は可愛いままです。
そのため老化のサインを発見して、愛犬が年を取ったと実感するケースは多いでしょう。
また、一緒に過ごせる時間に限りがあることを痛感する飼い主さんもいるはずです。
愛犬の老いに戸惑いや寂しさを感じる自分に、「当たり前のことなのにショックを受けるなんて変なのかな?」と悩むこともあるかもしれません。
私自身も愛犬の老化にショックを受け、なかなか受け入れられずにいた1人です。
その結果、家族からは「ぬいぐるみじゃないんだからね!」と言われたこともありました。
大切な家族である愛犬と1日でも長く一緒に過ごしたいと感じるのは自然なことです。
愛犬の老いにショックを感じたりすんなり受け入れられないのは当たり前です。
飼い主さんは焦らずに、少しずつ受け入れていくようにしましょう。
愛犬の老いを受け入れるには時間が必要です。
その一方で、シニアのサインを見つけたら早めに対処したいのも事実です。
愛犬に老化のサインが見られた際、以下のことを行いましょう。
見た目は可愛いままでも着実に老化は進みます。
お世話内容がそのままでは、愛犬の体に負担をかけることもあります。
例えば、シニア期の犬は食べ物を消化する機能や代謝が衰えます。
そのため、今までのフードでは胃や腸に負荷がかかったり、栄養過多となって肥満につながったりします。
愛犬にシニアのサインが現れたら、シニア用フードに少しづつ切り替えていきましょう。
シニア用フードは愛犬の対象年齢に合っており、高タンパク・低カロリーなものがオススメです!
ちなみに、シニアに限らず犬は穀物や油分の消化が得意ではありません。
そのため、急にフードを変えると胃に負担がかかり、嘔吐や下痢をする危険があります。
フードを切り替える際は、新しいフードを数日間かけて少しずつ増やしながら、これまでのフードを減らしましょう。
他にも、シニア犬のお世話をするにあたって見直したいことはたくさんあります。
- ・散歩にかける時間
- ・トイレの場所
- ・部屋の中の危険箇所のチェック
- ・ペット保険の検討
などです。
一度に全てを見直す必要はないので、愛犬の様子を見ながら少しずつ行いましょう。
スキンシップをとりながら愛犬の体のチェックをする飼い主さんは多いと思います。
シニア期では、これまで以上に細かく頻繁に愛犬の体を確認するのが理想です。
というのも、犬は老化によって膝や腰を痛めやすくなります。
そのため、早めに愛犬の不調に気づき、生活の中で不便がないように対処することが重要です。
愛犬の体を触って嫌がる部分がある場合、その部分に痛みを感じているのかもしれません。
また、シニア犬は免疫力や皮膚のバリア機能が低下し皮膚病も発症しやすくなります。
赤みや湿疹、脱毛している部分はないか、毛に隠れた部分まで細かくチェックしましょう。
少しでもおかしいと感じる時は、早めに動物病院を受診してください。
愛犬の老化に戸惑い、動揺することもあるでしょう。
しかし、愛犬に老いのサインが現れても、急激に生活を変える必要はありません。
今まで通り、愛犬が自分でできることは自力でさせて、愛犬が自力でできなくなった部分をサポートする姿勢が重要です。
また、「シニア犬」と一言で言っても、その子によって状態はさまざまです。
シニア犬と暮らす犬仲間やブログ・記事などからも情報収集し、色んなパターンがあることを知っておきましょう。
ただ、ネット上に明確な“正解”はありません。
愛犬の様子をよく確認して、「うちの子には何がベストなのか」を家族で話し合いましょう。
愛犬の老化は急激に進むわけではありませんが、次々とさまざまな老いのサインが現れます。
初めは受け入れられずにいた飼い主さんも、次第に愛犬の老化を受け入れていくと思います。
一方、老化を受け入れたとしても、老化現象に慣れ過ぎてしまうのには注意が必要です。
私も経験があるのですが、シニア犬と過ごしていると、「シニアだから仕方がない」と老いのせいにしてしまいがちです。
すると、愛犬の兆候が病気のサインだとしても「老化のせい」と思い込んで、気づくのが遅れてしまうのです。
- ・食が細くなった
- ・目が濁って来た
- ・体重に変化があった
- ・トイレの回数に増減があった
これらは老化のサインだけでなく、病気の症状でも現れるので注意が必要です。
老いに慣れて愛犬の異変を見逃さないよう、飼い主さんは注意しましょう。
私も数年前に愛犬を老衰で見送った1人です。
愛犬の老いのサインを発見すると「あとどのくらい一緒にいられるのかな」と急に不安になる飼い主さんは多いでしょう。
愛犬とのお別れに対する不安はもちろん、「介護が必要になったら?」「認知症は大丈夫?」など、さまざまな心配事が出て来ますよね。
確かに、シニア犬と暮らすのは楽しいことばかりではありません。
ただ、「シニアにはシニアならではの可愛さがある」と考えると将来に対する不安も和らぐかもしれません。
先日、私がペット資格の講習会でお会いした飼い主さんは、以前に見送った愛犬のことを次のように話されていました。
「本当に可愛い子だった!シニアになってからは益々可愛くなって天使のようだった」と、笑顔でお話されたのです。
シニアになって頑固になったなど、性格の変化も愛犬の個性です。
決して悪いことではないと私は思っています。
愛犬の変化を楽しみながら、残りの1日1日を大切に過ごしていけるといいですね。