一昔前は犬を単なる「愛玩動物」として飼育する家庭が一般的でした。
一方、現在は愛犬を「家族の一員」として大切にすることが当たり前になっていますよね。
犬を我が子のように可愛がる飼い主さんにとって、愛犬の老化は程遠いものに感じてしまいがちです。
しかし、犬は7歳を過ぎた頃から徐々に老化現象が起こるのも事実。
愛犬にも少しずつ老化のサインが現れます。
老化のサインに気づかずに、食事や生活環境がこれまで通りのままだと、犬の健康に支障を来たすこともあるので注意が必要です。
そこで今回は「愛犬の見た目に現れる老化のサイン」の中から、代表的なものをご紹介します。
人と同じく、犬も高齢になると代謝が落ちて血行が悪くなったり、被毛を作る表皮自体も弱くなったりします。
そのため、若い時に比べると被毛にツヤがなく乾燥したり、色が薄くなったりします。
数年前に亡くなった私の愛犬も元は黒い毛色の子でした。
ところがシニアになってからは、グレーがかった毛色に変化していきました。
初対面の人からは「グレーの毛色の子に初めて会いました!」なんて言われることもよくありました(笑)。
愛犬が7歳を超えたら、ブラッシングやスキンシップのときに被毛をよく観察しましょう。
毛のツヤや色の変化が気になる場合は、皮膚や被毛の元となる“タンパク質”を多く含むご飯に変えてみてください。
シニア犬に与えるタンパク質は、鶏ささみや豚肉を柔らかく煮たものがオススメ!
体重が10kg未満のシニア犬であれば、お肉は50g〜100gほどが目安です。
また、お肉を追加する際はカロリーオーバーに注意して、脂身は取り除き、フードの量も減らすと安心です。
見た目に現れる老化のサインは、皮膚に起こるものもいくつかあります。
- ・イボができる
- ・シミが増える
- ・フケが多くなる
- ・皮膚のハリがなくなってくる
犬の皮膚は被毛に隠れているため、パッと見では気づきにくいです。
愛犬の皮膚の変化にいち早く気づけるように、
皮膚がカサカサして乾燥がひどい場合は、犬用の保湿スプレーを使うのもオススメです。
イボやシミは背中のあたりに出来やすく、良性だと治療の必要はありませんが、悪性の場合は注意が必要です。
良性のイボは小さく他の皮膚と同色であるのに対し、悪性のイボは黒や赤紫色で段々と大きくなる特徴があります。
気になる場合は早めに動物病院で検査を行いましょう。
愛犬の目を見て「白っぽい気がする」と感じたことはありませんか?
シニア犬の目が白く濁るのは、大きく分けて2つの理由が考えられます。
- ・白内障
- ・核硬化症
白内障はシニア犬に多い目の病気で、眼球の中にある「水晶体」が濁ることで起こります。
視力も失われてしまうため手術が必要となることも多く、シニア犬には大きな負担となる病気の1つです。
一方、「核硬化症」は「水晶体核」という部分が老化によって圧縮し硬くなった状態のことを言います。
硬くなった水晶体核の透過度が低下して青みを帯びるため、人の目からは白っぽく見えるのです。
核硬化症の場合、視力には問題なく痛みもないため、ほとんどの場合は治療も必要ありません。
とはいえ、白内障も核硬化症も私たち素人目では判断しづらいです。
愛犬の目に異変を感じた際は動物病院に相談しましょう。
加齢によって代謝の低下や筋肉量が減少します。
その影響から散歩や段差を嫌がる・つまずきやすくなることも増えてきます。
若い頃と比べて体重が増え、お尻やお腹にたるみが見られることもあるでしょう。
タンパク質の多い食事に変えることで、筋肉量を維持することもできますが、与え過ぎは上手く分解・吸収されず内臓に負担がかかります。
お肉でタンパク質を補給する際は、体重10kg未満であれば、お肉は50g〜100gほどが目安です。
カロリーと脂質を摂り過ぎないように、脂身は取り除きフードの量も減らして調整しましょう。
フードは7歳以降や11歳以上などのシニア用を選ぶと安心です。
また筋肉を意識して使うことも大切です。
散歩でゆるい坂を登らせる・自宅でタオルをまたがせるなど、無理のない範囲で筋力トレーニングを行いましょう。
目やには健康な若い子も普段から出ますが、シニア犬は少し注意が必要です。
というのも、シニアになり代謝が落ちると、涙の量が段々と減っていきます。
すると、目の表面に溜まった老廃物などのゴミをこまめに流せなくなり、目ヤニの量が増えるのです。
目やにが以前より増えたとはいえ、毎日少しずつ出る程度であれば心配はいりません。
ちなみに、ティッシュペーパーで目やにを取り除くのはNGです。
ティッシュペーパーは繊維が荒く目を傷つける恐れがあります。
指で直接拭くのも眼球に菌が入る可能性があるので避けてください。
目やにを取る場合は、水で濡らしたコットンでやさしく拭いてあげましょう。
目やにの量が異常に多い、目やにが黄色や黄緑色の場合は、病気の可能性が考えられます。
判断がつかない際は早めに動物病院を受診してくださいね。
老化のサインを見つけて、「うちの子はまだ先だと思っていた」とショックを受ける飼い主さんも多いかもしれません。
とはいえ、老化現象は生きている限りみんなに平等にやってくる自然なことです。
また愛犬が大切な家族であることは変わりません。
愛犬に老化のサインが現れたからと言って、焦ったり急いで環境を変えたりする必要はありません。
少しずつ、これから先も愛犬が過ごしやすいように環境を整えていきましょう!