犬の7歳は人間で言うと54歳。
「まだ若い」と思う一方で、犬の世界ではシニアの仲間に入る年齢です。
そのため、行動にも徐々に老化のサインが現れ始めます。
今回は犬の行動に現れる老化のサインを6つ、対処法と併せてご紹介します。
「老化」と聞いてショックを受ける飼い主さんもいるかもしれませんが、老化はごく自然な現象です。
愛犬の老化を前向きに受け止めて、今の愛犬に合った環境を少しずつ用意しましょう。
今までは階段やソファに自力でのぼっていた愛犬が、年齢を重ねるにつれて段差を嫌がったり躊躇うようになっていませんか?
人と同じように犬も歳を重ねるに連れて、体の筋肉が落ち、足腰の骨が弱くなります。
目には見えなくても体の至る箇所に変化が出てきます。
すると、階段やソファにあがろうとしても、体が思うように動かず、のぼりづらいことも増えてくるのです。
関節炎などで痛みを伴っているケースもあるので、飼い主さんは早めに愛犬の変化に気づいてあげることが大切です。
段差をのぼることは筋力トレーニングにもなりますが、無理をさせてはいけません。
痛みが悪化したり転落などケガの元にもなるので注意が必要です。
家の中は段差にスロープをつけ、愛犬の負担が軽く済むように工夫しましょう。
また足腰が弱ってきた犬にとって、階段は大きな事故につながる恐れがあります。
そのため、できるだけ使用を控えると安心です。
犬の生活スペースを1階に限定したり、階段にペットゲートを設置して自分だけでのぼらないようにするなど対策しましょう。
7歳を過ぎてから徐々に愛犬が散歩に行きたがらなくなった…というのも老化のサインかもしれません。
目には見えなくてもシニア期の犬の体には、筋力の低下や骨密度の変化などが起こります。
若い頃には旺盛だった好奇心も7歳を過ぎると落ち着いてきます。散歩が大好きだった子でも、散歩に意欲が湧かないことも増えてくるのです。
数年前に老衰で亡くなった私の愛犬も、シニア期に入って数年した頃には散歩を嫌がることが増えていました。
当時は「仕方ないな」と私も散歩に連れていくことをやめていたのですが、これはあまりオススメできません。
なぜなら、犬の散歩には「運動不足の解消」のほかに「認知機能の低下を予防」「ストレスを発散」の役割があるからです。
つまり、「歩きたがらないから」と散歩に行くのをやめてしまうと、かえって犬の健康はよくないのです。
とはいえ、嫌がっている愛犬を無理に引きずって歩くのも可哀想ですよね。
シニア犬の散歩は「歩かせる」より「外の空気に触れさせる」ことが重要です。
抱っこをしたりペットカートを使ったり、1日10分でも良いので外に連れ出すようにしましょう!
急にご飯を食べなくなったり食欲が落ちたりなど、食に関する変化も老化のサインで現れやすいです。
シニア犬の食の変化はさまざまな理由が考えられますが、代表的なものは以下の通りです。
- ・嗅覚の低下
- ・味覚の変化
- ・代謝の低下
- ・消化機能の低下
犬は嗅覚が優れていますが、老化に伴って匂いを嗅ぎ取る力も段々と弱くなります。
これまでは、匂いで「おいしそう」と判断していたご飯も「これは食べても大丈夫?」と判断が付きづらくなることも珍しくありません。
また、代謝や消化機能の低下により空腹を感じにくくなります。
そのため、今までと同じ時間帯にご飯をあげても食べないケースも増えてきます。
とはいえ、食事は生きていくのに欠かせない大切なことです。
食欲がないときは、フードをお湯でふやかしたり犬用のふりかけを使って、ご飯の匂いを高めて食欲を刺激しましょう。
反対に、老化に伴うホルモンバランスの変化によって食欲旺盛になり、ご飯に執着するケースもあります。
食欲があることは良いことですが、ご飯の与え過ぎは要注意。
愛犬の食欲を満たしてあげられるように、食事回数を1日3~5回などに分けて対策しましょう。
名前を呼んでも気づかない、物や壁にぶつかるなど、反応が鈍くなってきた場合も老化のサインかもしれません。
と言うのも、犬も人と同じく老化に伴い聴力や視力が低下してきます。
そのため、周囲の音が聴こえづらく、周りにあるものも見えづらくなってしまうのです。
一方で、「老化だから仕方がない」と思っていたことが、じつは病気が原因だったケースも珍しくありません。
不安に思った際は動物病院に相談しましょう。
特に異常がなければ、愛犬が住みやすい環境に整えることが大切です。
愛犬の近くに寄ってから声をかけたり、犬の動線にある家具や壁にタオルを巻いたり工夫してみてください。
ケージで過ごすことが多ければ、メッシュ素材のソフトケージを使うとケガを防げて安心です。
高齢犬は若い頃に比べて体力も落ちるため、体力回復のために眠って過ごすことも増えてきます。
場合によっては1日18時間ほど眠る子もいるので、飼い主さんは心配になるかもしれません。
ご飯や水分をきちんと摂っているのであれば、過度に心配する必要はありません。
こまめに愛犬の様子を観察しましょう。
昼間に寝ていて、夜中に歩き回ったり夜鳴きをする場合は認知症によって昼夜が逆転していることが考えられます。
犬の認知症は10歳以上の子に多いですが、7歳頃でも全くないわけではありません。
気になることがある際は、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
これまでトイレの失敗がなかった子でも、老化によりトイレの失敗が増えることがあります。
一言に「老化によって」と言っても、さまざまなケースが考えられます。
- ・認知症によってトイレの場所がわからなくなる
- ・筋力の低下によって我慢できなくなる
- ・視覚や嗅覚の低下によってトイレの場所を間違える
などです。
まずは、愛犬がどの理由によってトイレを失敗しているか突き止めることが大切です。
ただし、どの場合でもトイレの失敗を叱るのは絶対にNGです!
トイレの失敗を叱ると、排泄を我慢したり犬が萎縮したり…百害あって一利なしです。
それに愛犬も今まで出来ていたことが出来なくなるのは悔しいはず。
飼い主さんがそれを叱ってしまうと、愛犬の心を傷つけ、信頼関係を崩すことにも繋がりかねません。
そのため、トイレの失敗が増えたら「失敗させない工夫」が大事です。
トイレの位置を生活スペースに近づける、トイレの数を増やすなど、排泄しやすい環境を整えてあげましょう。
愛犬の行動に現れる老化のサインと対処法をご紹介しましたが、どれも「今すぐに介護が必要」というわけではありません。
飼い主さんが全部面倒を見るのではなく、愛犬が自力でできることはできる限り自分でさせましょう。
飼い主さんやご家族は、難しくなった部分をサポートするスタンスが大切です。
重要なのは「愛犬がこれからもその子らしく生きていけること」。
ご紹介した内容は参考程度に、それぞれのご家庭で愛犬に合ったサポートの仕方を考えてみてくださいね。