犬は人の4倍もの聴力があることが知られていますが、年を重ねると耳が遠くなる場合もあります。
今回は、愛犬の耳が遠くなったサインと飼い主さんが気をつけたいことをご紹介します。
犬も加齢にともない聴力が低下することがありますが、飼い主さんがすぐに気づくのは困難だとされています。
言葉が話せないため、耳の違和感を伝えられないのはもちろんですが、他にも次のような理由があります。
- ・視覚や嗅覚で周囲の情報を得るため
- ・老齢による聴力の低下は徐々に進行するため
- ・マイペースな子は普段から飼い主さんの呼びかけにすぐ反応しないため
こうした理由により、毎日一緒にいる飼い主さんでも愛犬の聴力低下に気づきにくいです。
ただ、耳が遠くなったサインを覚えておくことで早期発見できる場合もあります。
多くの愛犬は自分の名前を覚えています。
そのため、飼い主さんが愛犬の名前を呼ぶと近くに寄ってきたり振り向いたりします。
しかし耳が遠くなった子の場合、飼い主さんの呼びかけに気づかずに無反応なことも…。
普段は名前を呼ぶと振り向いたり寄ってきたりする愛犬が無反応なときは、聴力が低下しているサインかもしれません。
個体差もありますが、インターホンや掃除機の音に反応する犬も多いですよね。
私の愛犬は臆病な子だったので、これらの音がするといつもすぐに反応して不安そうにウロウロとしていました。
ところが耳が遠くなるとこのような音に鈍感になり、反応しなくなることも多いです。
インターホンが鳴るたびに吠えたり何らかの反応をしていた子であれば、飼い主さんも変化に気づきやすいでしょう。
実際に、私の愛犬も12歳になった頃からはこうした物音に驚かなくなりました。
初めは「大人しくなってよかった」くらいにしか思っていませんでした。
しかし愛犬からすると、耳が聞こえづらくなるのは不便だったと思います。
愛犬が物音に反応しなくなった際は聴力低下を疑い、生活に支障がないようサポートしましょう。
聴覚の優れている犬は、後ろから人が近づいて来るのも音でわかります。
そのため、後ろから触られてもとくに驚く様子は見せません。
一方、耳が遠くなった子は後ろから人が近づく音に気づけません。
視界に入らない場所から触られると、驚いてその拍子に噛みついてしまうこともあります。
「シニアになって気性が荒くなった」と誤解することもありますが、聴力低下のサインではないか疑ってみてください。
犬はときどき耳をピクピクと動かす仕草をします。
これは周囲の音をよく聞くためです。
「この音は何?」「どこから聞こえるの?」と、その音をよく聞くことで、さまざまな情報を得ようとしているのです。
しかし、聴力が低下した犬は周囲の物音があまり聞こえないため、耳を動かす仕草も少なくなります。
近くで音がしているのに耳を全く動かさずにいたら、愛犬の耳が遠くなっているのかもしれません。
耳が聞こえづらくなると、散歩中や家の中でもさまざまなトラブルが起こりやすくなります。
散歩中だと、後ろから近づいてくる他の犬や人、自転車、車に気づきにくいです。
そのため背後から抜かれるときに驚いてパニックになり、とっさに走り出すこともあります。
家族が視界の外から急に触ることで、噛みついてしまうケースも珍しくありません。
「老齢だから仕方ない」で済ますのではなく、飼い主さんはより一層注意をし、愛犬をサポートすることが重要です。
ここからは、愛犬の耳が遠くなった際に飼い主さんが気をつけたいことをご紹介します。
愛犬にコマンドを出すとき、飼い主さんの声だけで指示していませんか?
声だけを頼りに指示を出すと、愛犬の耳が遠くなったときにコマンドの指示内容が伝わらなくなる可能性があります。
耳が遠くなっても指示がわかるよう、コマンドには動作も加えることをおすすめします。
耳が遠くなった犬は、後ろから人が近づいても気づけません。
急に後ろから触ると、驚いた拍子に噛みつく危険もあるので注意が必要です。
愛犬を触る際は、視界に入る位置からゆっくり触るようにしましょう。
愛犬が下を向いているときは、愛犬に聞こえるように大きな声で話しかけてから触るようにしてください。
外には家の中以上に危険がたくさんあります。
耳が聞こえづらい犬にとっては、なおさら注意が必要です。
視界に入る位置に危険なものがあれば、犬自身で気づけるかもしれません。
しかし、後ろから近づく車や自転車には気づくことができません。
リードが長いままでは、愛犬が気づかずに車や自転車の前に出てしまうことも考えられ、事故のリスクが高まります。
そのため外出時は必ずリードを着けて、愛犬が苦しくない程度に短く持ちましょう。
愛犬を先に歩かせるのではなく、飼い主さんの隣に並んで歩かせると安心です。
また、ドッグランなどノーリードOKの施設も注意が必要です。
耳が遠い子は飼い主さんの指示が聞こえづらかったり、後ろから近づく他の犬に気づかず驚いてパニックになる事も考えられます。
愛犬が安心して楽しめるか、他の子とのトラブルのリスクはないか利用する前に慎重に考えましょう。
犬は聴力の低下によって不安や孤独感が増すと言われています。
夜鳴きに発展するケースもあるほどです。
また、耳から入る刺激が少なくなると認知症のリスクが高まる傾向があります。
ただし、これらの問題はコミュニケーションを多くとることでカバーできます。
愛犬が安心して過ごせるように、コミュニケーションの時間を増やすことを心がけてくださいね。